空間活用事業

【ヨリミチ✕コミチPROJECT】まちなかの歩道空間などを活用した「出店促進」と「回遊促進」の取組み

愛知県岡崎市の中心市街地にある「康生通り」(住所:愛知県岡崎市康生通東1丁目-岡崎市籠田町)で、持続的な賑わいを生み出すことを目的とした”公共空間の活用”に関する社会実験を行いました。

この取り組みは、岡崎市・日本工営・まちづくり岡崎の官民連携事業として、2022年10月29日(土)~11月27日(日)に開催。
通りの中に人流を生み出す様々な仕掛けづくりを行うことで、隣接する集客スポット「籠田公園」から人を呼び込み、商業集積地である「康生通り」の散策を楽しんでもらうことを目的とした『ヨリミチ✕コミチPROJECT』を実施しました。

取り組みのチラシはコチラ(デジタルブック版)

▽事業の背景

岡崎市(おかざきし)は、愛知県のほぼ中央に位置する中核市で、徳川家康の生誕地や八丁味噌の産地として知られています。特に中心市街地に当たる岡崎城を中心とした城下町周辺は約500年続く商業地としての歴史を持ち、八丁味噌のほかにも、創業100年を超える三河花火、御影石、呉服、和蝋燭といった伝統産業が今なお受け継がれています。

近年、岡崎市と民間が一体となって進める「乙川リバーフロント地区公民連携まちづくり基本計画(QURUWA戦略)」では、エリア内の各拠点を『Q』の形に結びながら包括的なエリアの価値向上を目指す取り組みが行われています。
岡崎の玄関口である”東岡崎駅”、第一級河川である”乙川”の自然、観光名所である”岡崎公園・八丁味噌蔵”、文化と学びの”図書館交流プラザりぶら・市民会館”、憩いと交流の場である”籠田公園”など、各拠点が持つ特徴と多様なアクテビティに注目が集まっています。

本事業では、岡崎の城下町に位置し、QURUWAエリアの中の商業集積拠点である『康生通り』にスポットを当てた取り組みとして実施しました。

▽この事業の狙い(活用プラン)

『康生通り』はQURUWAエリアの中で、主要の各拠点(岡崎公園・りぶら・乙川・籠田公園など)を結ぶ”中間的立地”にある商業地です。約10の商店街が集まる中のメインロードであり、それぞれの拠点を連結するための「回遊ポイント」となる場所でもあります。

本取り組みでは、エリア内に呼び込んだ人を商業地のポテンシャルを生かしながらいかに「回遊」に結び付けるか、またそれを継続的に続けていくために康生通りにどのような「役割」を持たせるかを想定し、康生通りの『活用プラン(協力:名古屋工業大学伊藤孝紀研究室)』を策定。

①隣接する集客拠点「籠田公園」と康生通りに連続性を持たせ、来場客を通りに引き込む
②引き込んだ来街客を「商業地」の特性を生かしたコンテンツで散策させる

この2つのアプローチから拠点同士を効果的に結び付け「回遊」を生み出す仕掛けを、籠田公園へ来たついでに康生通りへの寄り道を促進させる”公共空間の活用プラン”『ヨリミチ✕コミチPROJECT』としてまとめました。

「活用プラン」の詳細はこちら(デジタルブック版)

・取組み1:景観統一や滞留スポット設置による「通りへの誘引」の仕掛けづくり

【コミチの仕掛け】
ヨリミチ✕コミチの「コミチ」の仕掛けは、通りのコーディネートにより視覚的な統一感を持たせる、また来街者に優しい滞留スポットの設置を行うなどで、道(康生通り)へのスムーズな誘引を目指します。

(1)つづくコミチ
前年に提案された「康生通り将来ビジョン」(協力:名古屋工業大学)に基づき提案されたデザインコード(虫小窓/松葉色)をあしらったフラッグやまちなかサイン、また活用可能な歩道空間に敷かれた人工芝などを展開し、康生通りに統一感を演出することで、通りの奥へと視覚的に誘引する狙い。

(2)すわってコミチ
通りの各ポイントに、来街者が座って休憩できるスポットを設置。籠田公園で使用している可動式家具(イス)を配置することで拠点間に視覚的につながりを持たせたり、通りに2カ所設置された木製の大型ベンチ「KOSEIポーチ」を通りの中継ポイントとして使用。来街者の居場所づくりを目指す。

・取組み2:多様な出店誘致とサポートによる「商業コンテンツ」の充実

【ヨリミチの仕掛け】
ヨリミチ✕コミチの「ヨリミチ」の仕掛けは、すでにある既存店だけでなく、通りに存在する空地・歩道・店内の空き空間などのスペースを有効活用し、通りの商業コンテンツの質・密度の向上を図る中で来街者の散策スポットを生み出すことを目的としています。

商業コンテンツの充実については、今後の継続的な外部誘致が必須となります。
今回の取り組みでは、通りの中に以下の3つの出店方法を設定しました。
①委託販売
②単発出店
③短~中期出店

康生通りは決して空き店舗物件が多いわけではなく、新陳代謝もあるエリアです。そのためコンテンツの密度を上げるために、多様で柔軟な出店形式を提案していく必要があります。
今回の取り組みでは、様々な段階にある出店希望者に対応するために3つのアプローチから出店提案を行い、実証実験が終わった後も「多様な出店方法が選べる康生通り」として継続的な役割を担うための基盤を構築する狙いがあります。

(1)はこでヨリミチ(STEP1:委託販売)
店舗の一角を利用した手作り雑貨作品が集まるボックスショップ。月1000円~/1ボックスの手軽なお試し出店を提案。約100名の出店が集まる、魅力的な立ち寄りスポット。

(2)のきでヨリミチ(STEP2:単発出店)
康生通りにあるお店の軒先部分(約1M程度の歩道空間)を活用した1DAY SHOP。机・イス・看板・商品を歩道空間に設置し、出店者にとっては対面で街を歩く人と接する機会となる。秋は籠田公園のイベント開催が多いので、そこからの流れ客を狙ったターゲティングも可能。来街者にとっては通りで露店によるウィンドウショッピングを体感できる。

(3)かどでヨリミチ(STEP3:短~中期出店)
康生交番横のL字型空地を使った、短期~中期でテント出店できるチャレンジショップ。イベントの相乗りではなく、ある一つのポイントに店を構えつつ日常的な店舗経営を体験できる。これをきっかけにテナント出店を希望する場合は、まち会社の創業サポートへ移行。

事業終了後の検証(結果報告)

【期間中の出店実績】

●はこでヨリミチ(店内/BOX SHOP)
[出店スペース: 127個/出店者数:111名/出店回数:119回]
・BOXSHOPという委託販売から、18店舗が軒先空間の利用(1DAY SHOP)に繋がった

●のきでヨリミチ(軒先/1DAY SHOP)
[出店スペース: 13ヶ所/出店者数: 35名/出店回数: 55回]
・1DAY SHOPの出店者→BOX SHOPへの出店に繋がった
・軒先を活用したグループマルシェが期間中2度開催された

●かどでヨリミチ(空き地/期間出店)
[出店スペース: 2ヶ所/出店者数: 2名/出店回数: 46回]
・お弁当販売と既存店の焼き芋のコラボ出店の実現
・期間出店者(キッチンカー)を空き店舗にマッチングし、出店が実現 など

事業の検証結果の詳細はこちらから(デジタルブック版)


▽(終了)社会実験【ヨリミチ✕コミチPROJECT】実施中の様子

【ヨリミチ✕コミチPROJECT】は、2022.10/29㈯~11/27㈰の約1ヶ月間開催し、無事終了しました。具体的にどのようなコンテンツがあったのかを知りたい場合は、下記リンクから詳細をご覧ください。

社会実験期間中に、まち歩きを楽しんでくれた方の体験記事(まとめ)を読む事ができます。

【ヨリミチ✕コミチPROJECT】まち歩きの様子(春の雪さんの記事より)